さて、天竜川は洪水の時に竜がのたうつ様子から「暴れ天竜」とも呼ばれていました。
洪水は人間の生活面や経済面にものすごくダメージを与えます。
しかし、洪水は、生態系を維持する重要な役目を持っとるし、生物多様性を支えとるんですに。
氾濫は湖や川などに多くの栄養素を供給し、農地に肥沃な土壌をもたらしたり、
生態系に適度な攪乱をもたらす利点も存在します。

洪水による恵みで最も著名なものはエジプトのナイル川流域。
この洪水は肥沃な土壌を毎年ナイル河畔にもたらし、エジプトの豊かな農業生産を支えました。
また、この洪水の影響を調整するために文明が発達し、
世界最古の文明であるエジプト文明が成立したと言います。

思えば、ここ数年、社会はコロナ禍や戦争など世界情勢の激変、大きな気候変動など、
思いもよらない大変化に閉塞感があちこちに蔓延し、
例えるなら、飲みこまれるようなどうにもならない「洪水」のような時期を過ごしてきたと思います。
しかし、そんななかでも、洪水による恵みのようなものも確かにあるようにも感じます。

今年は龍年。龍といえば、「登竜門」という言葉があります。
「竜門」という、流れが急な川を上った鯉は龍になるといわれる伝説から生まれた言葉。
鯉が竜門を登り切って、暴れ天竜を泳ぎ切って、龍になるように
多様化した世界で、正解のわからない時代を生き抜く力をつけていけるように、
「力のある食べ物」をみなさまに一生懸命提供し続けていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。